大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(く)74号 決定

被告人 本田昌三

〔抄 録〕

よつて取寄にかかる本件本案訴訟記録に徴し、本件事案の性質、内容、情状に照らし、かつ亦本件は刑法第二百四十条後段に該当する犯罪であるから刑事訴訟法第八十九条にいわゆる権利保釈をなし得べき場合に該当せず、しかも公判再開後猶も証拠調が続行されている現状等をも考慮すれば、本件において被告人の保釈を許可しその身柄を釈放することについては深甚なる考量を致すべきであることは言を俟たないところであるが、原裁判所が本件抗告申立に対する意見書中に述べているところによれば、原審裁判所においては前記事項、情状は勿論あらゆる事項を十分に考察した上敢て被告人の保釈を許可したものであることが推認せられるところ、記録を精査し検察官の抗告理由を仔細に検討するも、保証金額の多寡の点は暫らくおくとするも記録ないし証拠によつて見られる各般の事情に照らし被告人の人権擁護の立場からして必ずしも強いて原裁判所のなした保釈自体を以て失当なりとなすを得ないが原決定の定めた保釈保証金額につき按ずるに、記録により窺える本件犯罪の性質、情状、証拠の証明力、被告人の性格、資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる金額としては、金五万円は寡少に過ぎ金弐拾万円をもつて相当と認める。

よつて結局本件抗告はその理由があることに帰するので刑事訴訟法第九十三条第二項第四百二十六条第二項により原決定を取り消し、改めて当裁判所において保釈すべきものとし、又同法第四百二十四条第二項により本決定の確定に至るまで右保釈許可決定の執行を停止するのを相当と認め、主文のとおり決定する。

(三宅 河原 遠藤)

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